【ブランドインタビュー】フォレスト・マム

アソートBOX参加ブランドへのインタビューを毎月更新していきます!
作り手の想いやこだわりを是非とも知って、食べて、感じてみてください。
 
武蔵小金井にひっそりと佇む焼菓子工房『フォレスト・マム』
“みんな一緒に同じものを食べる「しあわせ」を同じように感じてもらいたい” という想いから、国産米粉を使用した、ヴィーガン&グルテンフリーなお菓子作りにこだわっています。
 
オーナーの澁谷聖子さんにブランド誕生の貴重なお話を伺いました。
キーワードは「食・選・力」!
 
 
 “人を幸せにするお菓子” の本質 『フォレスト・マム』
 
 
“自分のお菓子は本当にすべての人を幸せにできていたのか” という疑問
 
 
―ブランドを立ち上げたきっかけを教えてください。
澁谷:20年くらい前に、夫がカフェを始めたので、そこで、普通のお菓子を作って出してたんです。
ある時、お子さん連れの方が来て、その子が急に泣きだしたことがあって。
よくお話を聞くと、アレルギーがあって、ここのお菓子は食べられないのだと。それが悲しくて泣いてて。
 
―そんなことがあったのですね、、
澁谷:長いこと、“お菓子は人を幸せにするものだ” と思って作ってきたのに、その子にとっては、すごく酷なことなんだ、と思いました。
その時に、この作り方ではいけないと思って。
いろいろ調べていくうちに、ヴィーガンを知って、本格的に始めて、カフェから独立しました。
 
 
―ブランドを立ち上げる前から、お菓子作りのお仕事をされていたのでしょうか。
澁谷:いえいえ。私は元々看護師で、結婚する前は病院勤めをしていたんです。
結婚と同時に退職して専業主婦を10年くらいやり、その後、夫と一緒にカフェ経営を始めました。
 
―なるほど、、!ということは、お菓子作りは独学なのですか。
澁谷:ええ、全くの独学です。もともとお菓子作りは好きだったので、よく作っていたんです。
夫がカフェをやる時に、出来合いのものを使う案もあったんですが、それだったら私が作ろうということで、本格的にはじめました。
 
―卵とかバターとかは、生地をまとめるのに必要なイメージがあって、、それを使わないヴィーガンスイーツをゼロから作るのは、大変ですよね。
澁谷:ええ。ものすごく試行錯誤しました。
10年前は、ヴィーガンとかグルテンフリーとかまだ一般的ではなかったので、マクロビのレシピ本を見て作りました。でも、おいしくないなぁと思って、、
普通のスタンダードなお菓子とか食べてると、マクロビのがすごく味気なくて、色味も悪いし。
残念に思って、いろいろなところを検索したり、食べに行ったりしてました。
 
―探究心がすごいです、、
澁谷:本当にいろんなところに足を運んで。
8ablishさん(当時はピアカフェ)にもよく行きました。
マクロビの本で研究していた時にベジブックスを見つけて、作り方が面白いと思って、卵の代わりになぜ葛(くず)を使うのか、電話かけて聞いたりしました。
 
―電話まで!すごいです!
澁谷:恥はかき捨てで、聞くのは全然恥ずかしくなくて。当時はとにかく必死でした。
 
 
 
“ヴィーガンって自由なんだ” ということに気が付いた
 
―ヴィーガンに行き着いたきっかけが、アレルギーの男の子に会ったからということでしたが、他にも理由があったのでしょうか。
澁谷:きっかけはアレルギーの男の子ですが、他にも、娘もアレルギー持ちなことや、自分が長く看護師をやってきていて、アレルギーの知識があったにもかかわらず、食物アレルギーには疎かったんだという反省から、自分を修正し、そこで巡り合ったのがヴィーガンだったんです。
私は、自分が自由でいたいという思いがあって。
もっといろんなことにチャレンジ出来たらいいなぁと思ったので、ヴィーガンの “縛られない自由さ” がいいなぁと思っています。
ヴィーガンは、制約はありますが、自分の “核” がしっかりしていれば、自由だというところに良さを感じてたどりつきました。
 
―その “核” は、ヴィーガン自体は制約が多いけれど、それを自分がしっかり守っていれば自由にみんなに食べてもらえるってことでしょうか。
澁谷:そうです。やっぱり地球環境、宗教、アレルギー、健康的な理由、いろいろな背景を超えて、みんなが笑顔で食べられる世界は、ヴィーガンならば叶えることができるんじゃないかと思いました。
 
 
間違いから生まれた「forest mam」、あえて逆手に
 
 
―『フォレスト・マム』の由来を伺いたいです。
澁谷:直訳すると「森のお母さん」なのですが、
“森の中に泉が湧き出るところがあって、その場所は母のようにおおらかで。動物たちがみんなその泉でひと休みする”
そういう場所であり、そんな人になれたらいいなぁという思いで付けました。
 
―なるほど。森の中の母なる泉というイメージですかね。
澁谷:深い泉というか、“何があっても揺るがない” そういうイメージですね。
 
―ちなみに、英語で書くブランド名「forest mam」が、“mom” ではないのは、何か意味があるのでしょうか。
澁谷:実は、私が単純に英語が苦手で、“mam” と書いてしまって、、笑
後から友人に「本当は “mom” だよ」って教えてもらったのです!
でも、それを逆手にとって、最初に見た時に、「なんか違和感あるな、、」って覚えてもらう良いきっかけになるだろうと思って、修正せずに “mam” を貫くことにしたのです。
 
―発想の転換ですね!では、ヴィーガンスイーツを作り始めて良かったなと思うことはありますか。
澁谷:いろいろな人が求めてくださるのが、手ごたえとして感じられるのが良かったです。
きっかけになったあのアレルギーの男の子がもう一度来てくれないかなと、思ってます。
 
―お客さまからもらう言葉で、嬉しかった言葉はありますか。
澁谷:アレルギーのお子さんがいるご家族が、「バースデーケーキはいつも諦めてだけど、一緒にお祝いができて良かった」とか、そういう言葉やお写真をいただくことが、心に残りすね。
また、ヴィーガンやグルテンフリーを知らないお客さまが、「美味しかった!」って言ってくださると本当に嬉しくて。日々そうやって励まされてます。
 
―ヴィーガンスイーツを扱ううえで工夫していることや、苦労したことはありますか。
澁谷:ヴィーガンに加えグルテンフリーの商品なので、米粉の食感をいかに美味しく滑らかにするか、ということに、今も四苦八苦しながらやってる感じですね。どうしてもボソボソしてしまうので。
でも、米粉自体の開発がいますごく進んでて。お米の産地や質によっても、水の吸水率が異なったりするんです。
レシピ開発と共に、もっと米粉のことを勉強しなくてはと思います!
 
―なるほど、、!実は私もアレルギー持ちなので、グルテンフリーには特に敏感です。
澁谷:ブランド立ち上げのきっかけになった男の子もそうですが、アレルギーの方々にもより真摯に向き合いたくて、厨房内のグルテン検出検査もきちんと行えるよう、体制を整えている最中です。本当の意味での “みんなが安心して食べられるスイーツ作り” に今後も取り組んでいきたいと思っています。
 
 
 
「食・選・力」
 
―研究熱心で尊敬します、、!澁谷さんご自身がこのブランドで一番大事にしていることをお聞きしたいです。
澁谷:“一つのものをみんなで分け合って食べる嬉しさや喜びを、諦めないこと” ですね。
 
―実際、お客さまはどんな方が多いのでしょうか。
澁谷:地元の方が多いのですが、“美味しそうだから” とか “外観が気になってて” と言って来てくれますね。
また、子育て世代のお母さんたちは、“子供がアレルギーがるからみんなで食べられるバースデーケーキを作ってください!” という方が結構多いです。
私は「食・選・力」、 “食を選ぶ力” を養っていかなければならないと思ってます。
 
―なるほど、「食選力」ですか!耳馴染みのない単語ですが、そういう言葉があるのでしょうか。
澁谷:食育の中でよく使われる言葉ですね。
 
―それは “商品を作る側” それとも “消費者側” 、どちらがその力をつけるべきなのでしょうか。
澁谷:両者ですね。特に消費者は、“何を選べば生活が豊かになるのか” を考えるのは大事だと思います。
野菜ひとつとっても、オーガニックが本当にいいのか?とか。一つひとつきちんと考えながら食べ物を選んでいく。自分が選んで食べたものが、体を作っていくので。
“自分の成長に繋がっていくものは何なのか”
そういう知識をつけていくことが、「食選力」だと思います。
 
― “食育” という言葉はよく聞きますが、その中で「食選力」を鍛える必要がありますね。
澁谷:私は、そのための窓口でありたいと思ってます。地元で食育関係の委員や、子ども食堂をやってるんですが、若いお母さんたちにいろいろと、教えていきたいのです。
ただ、本当にいいものってやはり原価が高いので、本来必要としている若い人たちに届きにくいのが、本当にもどかしかしいです。
なるべくならお安く提供したいのですが、ジレンマですね。でも、安いものを何度も買うんじゃなくて、良いものを大切に、丁寧に食べて欲しいと思っています。
 
厨房の壁に書いてある澁谷さんを励ます言葉たち
 
―今回、vee ga boo にご参加いただいた率直な理由をお聞かせいただきたいです。
澁谷:コロナ禍で、事業展開をいろいろ考えていたところに、お声がけいただいて。
私たちに足りないのは情報源になり得る大きな力で、それが必要だなと感じていました。
自分たちが今までやってきたことを、地元だけじゃなくてもっと大きな舞台で、情報を発信して届けていきたいと思ってぜひ一緒にやれたら嬉しいなとおもいました。
 
―ありがとうございます、、!
澁谷:「これからの時代は、みんなに寄り添ったことをビジネスにしていきたい」という言葉が、“まさにそうだな”と思っていて。
「自分だけがいいんじゃなくて、地域規模で考えたい」というお話をしてくださったことに、共感しました。でも、“本当に本当にマルイさんなの?” って。(笑)
マルイさんのような大きなところに目に留めていただいたことに驚いちゃって。だから、凄く嬉しかったです。
 
―私たちも澁谷さんのように共感いただけるブランドさまがいらっしゃって本当にうれしく思っています。精一杯頑張らせていただきます、、!
 
 
 
一緒に幸せになろう
 
―今後の展望や、ビジョンを教えてください。
澁谷:コロナで大きく生き方とか考え方とか変わったと思いますが、ヴィーガンでグルテンフリーというお菓子がスタンダードになって、和菓子や洋菓子と同じくらいのレベルで選択肢の一つとして、日常的に世の中にあるようにしたいなというのが、大きな希望です。
コロナで、いろいろな人の自由が制限されている中で、より豊かに選べるように展開していけたらといいと思うので、オンラインとかで地方に自分たちのお菓子を届けたいなと思ってます。
 
―最後に、この記事を読んでるみなさまにメッセージをお願いします。
澁谷:(んー、と考えてから、)「一緒に幸せになろうね!」ってことですかね。
 
―カッコいいですね!
澁谷:私も作ってて本当に幸せだから、食べた人も一緒に幸せになれたらこんなに嬉しいことはありません。
コロナで緊迫した世の中だけど、うちのお菓子を食べることで緊張がほどける時間というのを、日常にお届け出来たらいいなと思ってます。
 
 
 
『フォレスト・マム』
国産米粉を使用、卵・乳・白砂糖を使わないヴィーガン&グルテンフリーの焼菓子店です。
元気と笑顔の源は「食べること」おやつは人と人を繋ぐ大切な「うるおい」
アレルギーやダイエット、健康管理を超えて美味しい笑顔がこぼれるようなおやつ作りをします。
みんな一緒に同じものを食べる「しあわせ」を同じように感じてもらいたい。
フォレスト・マムは身体に優しく、心に残るおやつ屋さんを目指しています!
 
 
 
Text by 岡﨑可奈(vee ga boo)